研究課題/領域番号 |
12450213
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 正憲 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70029289)
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研究分担者 |
池 道彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40222856)
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キーワード | 廃棄物理立処分場 / 安定化促進 / バイオベンディング / 浸出水循環 / 有害ガス / 生態毒性評価 |
研究概要 |
パイロットスケールの廃棄物処分場を模したカラム(容積約600L、250kgのモデル廃棄物を充填、人工降雨を供給)リアクターを用いて、廃棄物パイルへの通気による酸素の供給(バイオベンティング:200L/min)、および浸出水循環による水分調整(含水率50%を維持)を実施し、好気性微生物群を活性化することで、廃棄物安定化を促進する試みを行った。ここで、モデル廃棄物は、庭ゴミ、厨房ゴミ、廃OA用紙、脱水下水汚泥、およびドッグフードを等量混合して調製し、密度が430kg/m^3となるようにリアクターに導入した。また、バイオベンティングの効果を評価するために、対照系として同様のモデル廃棄物処分場リアクターを構築し、特に通気と浸出水循環を行わず、人工降雨のみを供給する運転を行った。 バイオベンティングの適用により、モデル処分場リアクター内の環境は嫌気状態から好気状態へと転換され、好気性の微生物群を活性化させることができた。また、このためには浸出水循環により廃棄物の含水率を適正にコントロールすることが必要であることが示唆された。好気性微生物の活性化により、リアクター内の廃棄物の減容化が促進され、有機物が安定化するまでの期間が著しく短縮された。また、浸出水中の有害成分の効率的分解、除去が達成され、バイオアッセイによる各種毒性指標値の低下が確認されるとともに、有害ガスの発生も抑制されることが明らかとなった。以上より、バイオベンティングによる好気性微生物のin situでの活性化は、廃棄物埋立て処分場の安定化促進とリスク低減に大きく貢献し得ることが明らかとなった。また、ラボスケールでの同様の試験によって、特殊微生物の機能を活性化することで、生分解性プラスチックの分解促進や、重金属の溶出・除去を促進できることも明らかとなり、廃棄物処分場における微生物の適正管理の重要性が証明された。
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