土壌のin situ(原位置)バイオレメディエーションの一手法であるバイオベンティングを適用し、廃棄物埋立処分場に存在する有機物、難分解性/有害化学物質などを効率的に分解、除去することによって、安定化を促進する試みをラボ、あるいはパイロットスケールのリアクターを用いて行い、実用化の可能性について検討した。 廃棄物処分場を模したカラム実験、あるいはフラスコ実験を通じて、廃棄物パイルの底部から通気を行い酸素を供給するバイオベンティングによって、パイル内を嫌気状態から好気/微好気状態に転換すると、土着性の好気性従属栄養細菌群が活性化され、廃棄物減容化・無機化の加速化、浸出水からの有機物除去とアンモニア酸化(硝化)の向上、生態毒性(変異原性、内分泌攪乱活性)の低減、有害ガス発生の抑制を達成することができ、一般的な意味での廃棄物埋立処分場の安定化促進につながることが示された。ただし、安定化促進効果を得るためには、浸出水循環を適正に行い、廃棄物パイル内の水分調整(含水率50%を維持)を行うことによって、乾燥による微生物活性の低下を防止することが重要であることが明らかとなった。また、バイオベンティングと浸出水循環は、PHB、デンプン系などの生分解性プラスチック分解菌のポピュレーションを高め、その分解を促進することにも利用できることが明らかとなり、特定の化学物質の分解促進も可能であることも示唆された。 以上より、in situでの好気性微生物の活性化は、廃棄物埋立て処分場の安定化促進とリスク低減に大きく貢献し得ることが明らかとなったものといえる。また、特殊微生物の機能を活性化することで、化学物質分解の促進にもつながることが示唆され、廃棄物処分場における微生物の適正管理の重要性が証明された。
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