研究概要 |
霞ヶ浦湖水,溶存有機物(DOM)発生源水(河川水,下水初沈水,下水処理水,生活雑排水,し尿処理水等をDOM分画手法(生分解試験+フミン物質の分離に基づく樹脂分画)に供し,サンプルDOMをフミン物質,疎水性中性物質,親水性酸,塩基,親水性中性物質の5つに分画した。引き続いて,ろ過サンプル(DOM)、フミン物質(AHS),親水性画分(HiF:親水性酸+塩基+親水性中性物質)のトリハロメタン生成能(THMFP)をヘッドスペースGC/MSで測定した。 生分解プロセスのTHMFP(μmolTHMmgC^<-1>)に及ぼす影響を評価した。湖水DOMおよびフミン物質のTHMFPは生分解前後で少し(約4%)上昇した。一方、親水性画分のTHMFPは生分解によりかなり増大した(約14%)。 霞ヶ浦に流入する河川水では、湖水とは異なり、生分解前後でフミン物質のTHMFPは少し減少し、DOMおよび親水性画分、特に親水性画分のTHMFPが顕著に増大した。また、下水初沈水や生活雑排水等の生分解性の高いサンプルでは生分解前後でTHMFPが極端に異なった。下水初沈水および生活雑排水のTHMFPは生分解によりDOMで各々9倍、10倍増大し、親水性画分では各々16倍、5倍増大した。両サンプルともフミン物質のTHMFPは約8%減少した。一方、既に生分解処理を既に受けている下水処理水のTHMFPは、生分解によって、DOMで30%上昇、フミン物質で8%減少、親水性画分で40%増大した。また、100日間生分解試験でのDOC分解率が僅か7%であるし尿処理水では、生分解によってTHMFPはほとんど変化しなかった(DOM:1%、フミン物質:0.2%、親水性画分:0.8%の減少)。
|