研究概要 |
鉄骨柱と梁との接合部において、溶接による剛接合の代替案としてのメカニカルファスナーと金物によるディテール、いわゆる部分強度・半剛接接接合部、また鉄骨柱脚接合部の半固定柱脚を研究対象とした。これらの接合部を含む部分架構の試験体に対して載荷実験・オンライン実験を行うとともに、各種建物要素の耐震性能を観測するための架台(スチールスウィング)を開発・製作し、地震応答観測を実施した。 また、この種の半剛接架構では中小地震に対する変形の大きさが問題となるが、野外に設置された現有の弱小構造物模型(柔いラーメン架構)に、履歴型ダンパーを組み入れ、この種の柔架構に対する補剛効果について実証的に調査した。過去に実施した地震応答観測、今回実施したオンライン地震応答実験および繰返し準静的載荷実験という直接・実証的手段によって、履歴型ダンパーによる補剛・補強効果を総合的に確認するためのデータ収集を行った。履歴型ダンパーがある場合とない場合について、実験地(千葉市稲毛区弥生)で記録された地震波(1985年10月4日,1986年6月24日,1987年12月17日,1996年9月11日に観測)を入力としてオンライン地震応答実験を行った。さらに各種建物要素の耐震性能を観測するための架台(スチールスウィング)には、露出型柱脚試験体を取り付け、地震応答観測を開始し、計18回の自然実地震に対する柱脚部の地震応答挙動を記録し、その剛性や減衰性能について実証的な資料を収集した。以上の得られた耐震性能に関する実験データを定量的・定性的に分析し、多様な半剛接接合ディテールの強度・剛性・変形能力の評価法を具体的に示し、また耐震要素(筋かいおよび履歴ダンパー等)との併用を含めて半剛接架構の合理的な設計法を提案した。
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