震源・地盤・構造物総合系の観点からの都市震害予測と制御に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450226
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 河野 允宏 京都大学, 工学研究科, 教授 (20026090)
• 研究分担者: 松田 敏 関西大学, 工学部, 助手 (60278603) ; 浅野 幸一郎 関西大学, 工学部, 教授 (80067644)
• キーワード: 震源・地盤・構造物総合系 / 地震動予測モデル / 不整形地盤 / Riccati Method / 免震構造物 / 応答制御

研究概要

平成13年度の研究計画に従って、次の様な研究成果が得られた。
(1)震源・地盤・構造物総合系の地震応答予測:(a)地震動予測モデル作製:北伊豆断層、警固断層、湯布院断層、府内朝見川断層を対象として、高層建築物、免震構造物が計画されている敷地の地盤特性を反映させて、震源から地震基盤までをランダム地盤で置換し、その上に多層の地盤層からなる地盤モデルを作製した。この地盤モデルと断層の破壊過程を模擬した震源モデルを用いて、波動伝播理論に基づき地震動予測モデルを作製した。(b)震源・地盤・構造物総合系の地震応答解析:地震動予測モデルを用いて、断層面上の破壊パターン、アスペリティの分布、地盤特性等の物理的要因の変動を考慮して、高層建築物、免震構造物の応答予測を行った。
(2)不整形地盤内の波動伝播の解明:不整形地盤の境界形状に適合した曲線直交座標系での運動方程式、構成関係、境界条件を示し、境界直交方向の常微分方程式の2点境界値問題として記述し、これをRiccati Methodを用いて積分する方法を開発した。同手法を3次元軸対称不整形地盤モデルの地震応答解析に適用し、不整形地盤の形状、入射波の形状、入射波の種別が地盤応答特性に与える影響について明らかにした。
(3)都市域での震害予測と制御:(a)大阪市域を対象として予測された入力地震動に基づき、建築構造物群の地震信頼性または危険度の評価法を展開した。非ホワイトランダム地震断層近傍で観測された複数の地震記録を基に非定常ランダム地震入力モデルを作製し、構造物の非定常非線形応答を評価し、断層近傍の地震動特性と構造物の耐力スペクトルとの関係について考察した。(b)免震構造物としての関西大学工学部第I実験棟に強震加速度計の水平2成分、鉛直1成分を基礎盤上及び1階フロア、4階外壁面の3箇所に設置し、地震応答記録を収集し、免震装置の地震応答制御効果を地震観測によって検討した。

研究成果

• [文献書誌] 河野允宏, 浅野幸一郎, 土肥 博, 松田 敏: "濃美地震に対する構造物の応答評価の試み"日本地震学会研究発表討論会梗概集. 26 (2001)
• [文献書誌] 松田 敏, 河野允宏, 浅野幸一郎: "Riccati Methodによる2次元不整形地盤の地震応答解析"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 801-802 (2001)
• [文献書誌] 堀健太郎, 石本賢史, 中川 肇, 浅野幸一郎: "Maxwell型非線形粘性ダンパーの最高パラメータ非定常確率過程に基づく評価"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 295-296 (2001)
• [文献書誌] 中川 肇, 浅野幸一郎: "Maxwell型非線形粘性ダンパーを有する構造物の最適地震応答制御について"日本建築学会構造系論文集. 542. 83-89 (2001)
• [文献書誌] 緒方一生, 松田敏, 浅野幸一郎: "観測地震記録に基づく非定常ランダム入力地震動モデルの作成"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 19-20 (2001)
• [文献書誌] 三宅真司郎, 松田 敏, 浅野幸一郎: "構造物の地震信頼性解析 1995年神戸地震による事例研究"日本建築学会大会学術講演梗概集. B-2. 133-134 (2001)