| 研究概要 |
1.南関東地震および濃尾地震を対象として,震源過程の運動学的モデルと波動伝播理論に基づく地震動予測モデルを作成し,これに対する免震建物および高層建物の地震応答解析を実施した.その結果,震源断層と観測点との幾何学的関係(震源距離断,層面上のアスペリティのサイズや分布,破壊伝播の方向と観測点の位置関係)と,観測点近傍の地盤構成が,地震動特性,そして構造物の応答性状に大きな影響を及ぼすことが明らかにされた.さらに,アスペリティのサイズやディレクティビティ効果と地盤増幅の相乗効果により,地震動特性に対応して構造物の終局状態における崩壊モードが変化し,要求される耐震性能が異なってくることを指摘した.
2.1995年兵庫県南部地震を対象として,実測波形関数に基づく確率論的入力地震動を作成して,S造,RC造を想定した1質点系および多質点系(2,5質点系)構造物モデルの地震信頼性解析を実施し,解析的地震信頼性と対応する実被害を比較した.その結果,S造については2質点系,RC造については5質点系構造物モデルの解析結果が実被害と特に良好な一致を示した.実被害の当該建物の層数は様々であり,多層構造物の地震信頼性を画一的に1質点系モデルで評価することは困難であると考えられるが,1質点系による簡易解析の結果にも実被害との有意な相関が認められ,将来の地震被害予測のために有用な情報を与えるものと考えられる.
3.一般座標系による3次元不整形地盤の新しい地震応答解析法を開発し,その有効性を検証した.更に,種々の応答解析を実施して入射波の種別,不整形地盤の形状と応答性状の関係について系統的検討を行い,不整形地盤の形状と内部生成表面波の関係,実体波と表面波の干渉による応答の空間形成パターン,不整形地盤の固有振動と内部生成表面波の関係等,2次元,3次元不整形地盤の基本的応答性状を明らかにした.
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