研究概要 |
構造物,構造物内の各種機器装置および配管系に対する実用的かつ制振効果の優れた制振装置を開発し,その制御手法・設計方法を確立することを研究目的とする。初めに実用化されているアクティブ,セミアクティブおよびパッシブの各制振装置を系統的に調査し,機構種別,減衰特性,振動数特性,制御法則,コスト等を詳細に検討した。制振対象に最も有効な制振制御方法の提案を期して,新しいタイプの制振装置を開発し,理論的,実験的な特性把握を開始した。建物モデル,機器装置モデルおよび配管モデルに新しい制振装置を取り付け,二次元振動台による性能実証試験を行い,地震応答解析によって耐震性能を検証した。主な成果は以下の通りである。 1.構造物,機器装置,配管系用のダンパおよび制振装置について,地震応答制御の有効性の観点から,調査と検証を行った。制振構造物,耐震構造物の試設計,ダンパおよび制振装置の適正配置,制御法則を検討した。 2.従来の制御理論を構造物に応用する問題点を抽出し,建物振動系に求められる制御性能を明確化するとともに,制御法則を改良した。特に,各種アクティブダンパに対するH∞制御の適用に関する検討を行った。 3.質量,剛性などの高さ方向,平面上での水平方向の構造特性分布に不均等性を有する建物の振動特性を調べ,地震応答制御を目的とした各種ダンパの適用と配置方法を検討した。 4.構造的な偏心を有する木質構造物に免震装置を適用する場合の構造設計上の重要事項を調べ,偏心率,鉛直剛性,床剛性等をパラメータとする建物モデルを設計・製作し,二次元振動台を用いた性能試験を実施した。 5.X-Yテーブルを用いたパッシブ型およびセミアクティブ型の免震テーブル,および複数個の半円弧形金属棒を用いた3自由度弾塑性ダンパを設計,開発し,その性能実証試験を実施した。
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