研究概要 |
ベランダ手摺子など屋外建築付帯物から強風時に発生する空力騒音の数値予測について実スケールでの解析を可能とした昨年度に引き続き,本年度は主に以下2点の検討を行った. 1)流入風向の影響に関する検討:流入条件および空力音の発生機構に関する検討の一部として,作成したコードを用いてベランダ手摺子を模した正方形断面角柱からの放射音特性に対する風向の影響を調べ,流入風の物体に対する迎え角が15度を超えると急速にカルマン周波数に対応する純音成分が低下するなど,風向に大きく依存することを示した. 2)要求計算機資源の低減:放射音の正確な周波数特性を得るためには,音源周り流れの三次元解析が必要である一方,三次元解析は二次元解析と比較し膨大な計算機資源が要求されることが明らかとなった.一方,ベランダ手摺子など空力騒音が問題となる物体の多くは柱状をなすことから,スパンの一部を解析した結果を用いて全スパンから放射される音の特性を推定することにより必要計算機資源を低減させる手法が考案される.これは柱状物体まわり流れのスパン方向の統計的一様性を仮定して,流体音源のスパン方向の位相相関を周波数毎に求め,この相関関数を用いてスパンの一部の解析結果から得られる音源強度をスパン方向に外挿する手法である.本手法の妥当性を検証するために,全スパンの解析により得られた放射音圧とスパンの4分の1の解析データから全スパンからの放射音圧を推定した結果の比較を行った.両者は1/3オクターブバンド平均値でおよそ1dB以内の差で良く対応し,提案する推定手法の妥当性が示された.
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