研究課題
建築・設備システムの地球環境に対する負荷を低減するためには、a)地域の気候特性を考慮して建築や都市の計画・設計を行うこと、b)自然エネルギーを利用して化石エネルギーからの脱却を図ること、c)将来の気象の推移を予測し、最適な建築・設備システムを設計・運用すること、などが重要である。これらの達成にはシミュレーションツール、特に気象データの整備が欠かせない。本研究では、1)気象データのモデル構築にかかわる研究、2)設備システムの運転制御と気象データの関係、3)気象データの予測や推定に関する研究、を課題として総合的な研究を実施することを目的としている。本年度は以下の研究を実施した。・蓄熱空調システムのための実データを用いた熱負荷予測アルゴリズムを気象データを用いたシミュレーションにより検証した。・走査型の全天空輝度・放射輝度分布計のデータをもとに太陽周辺光からの放射成分をも含む直散分離日射量データを作成し、鉛直面での日射量特性を明らかにした。・空調機負荷シミュレーションにより躯体蓄熱空調システムのシステム性能の総合的な評価を目的に蓄熱運転方法、室内発熱及び建物熱的使用などの躯体蓄熱空調システム性能への影響について明らかにした。・建物への熱や光の出入りを自動ブラインドや自立応答型調光ガラスでコントロールすることのできる高機能窓すなわちソーラーコントロール窓の省エネルギー効果を実測及びシミュレーションにより明らかにした。・気象要素の空間系列をバリオグラムモデルにより推定する手法を開発した。・大学生を対象に30分毎の冷房利用記録を4ヶ月間とり、日平均外気温など外界気象条件との相関性、意識、生活習慣、体質など利用者の特性との関連性において、冷房利用時間を考察した。・気象衛星画像により地表面での日射量および昼光照度を1時間毎の準リアルタイムで予測可能なモデルを開発し、気象データによりその精度を検討した。
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