研究概要 |
成長期および低成長期において受発注者が置かれた環境の違いを説明するために,「リスク」と「関係レント」の両概念を導入,次のことを明らかにした。すなわち,成長期においては発注者側により大きなリスクがあるが,受注者が長期的関係の樹立による関係レントの最大化を目指すためにそのリスクが解消される。また低成長期においては,受注者側に大きなリスクが存在するが,発注者側にも別種の「構造的リスク」が存在する。 さらに,こうした状況を打開するには,第一に発注者側により多くの機会と責任力があること,また構造的リスクを回避するには第三者専門コンサルタントの成立と発注者による雇用が必要であること,またこれら専門コンサルタントはゼネコンからスピンオフしてくる可能性が高いことが明らかにされた。 今後の構造改革理念,戦略については,いわゆるサプライ・サイドの方策よりもデマンド・サイドの方策が有効である。その典型はサプライチェイン・マネジメントであるが,ヨーロッパのファサード・エンジニアリングについて,発注者および最川下の製造業者によるサプライチェイン・マネジメントが際立ったかたちで進行しており,技術革新が急速に浸透していることを示した。また,CSの向上を目指した生産方式と電子受発注の可能性を検討するために,鹿児島建築市場の実態調査を行った。 CM標準約款については、引き続き,マネージメント記述素DBから発注方式ごとに発注者、CMr、設計者、施工者の責任分担を明らかにしたマネジメント活動を自動出力する方法の実現に向けて検討を行い,その成果を発表した。 以上の成果と関連して、平成15年2月、日本建築学会主催の建築生産パネル・ディスカッション「ゼネコン研究」を企画・開催した。
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