研究概要 |
本研究は,大阪府住宅供給公社の賃貸住宅である「ふれっくすコート吉田」(以下,吉田プロジェクト)を対象とし,特に,ストック・マネジメントの視点から新たに開発したインフィル供給・管理システムに着目した上で,1.住まい手による可変インフィルの利用実態調査,2.可変インフィルの変更・追加・撤去工事の実態調査,3.インフィル供給・管理組織の活動実態調査、4.インフィル供給管理への住まい手参加支授システムの利用実態調査を行い,インフィル供給・管理システムの有効性を総合的に評価することを目的としたものである。 今年度の研究成果としては,2002年11月29日〜12月8日に、全53戸中、空き家を除く50戸を対象に留置自記法によりアンケート調査を実施した(回収率98%)。さらに、間取りや住まい方に特色がみられた13戸を選定して訪問ヒアリング調査を行った。その結果,広いリビングや間取りの可変性を備えていることに対して居住者は高く評価しており,ライフスタィルに応じた様々な住まい方の工夫がみられた。可変インフィルのうち可動収納家具は収納および間仕切りともに有効に利用されており居住者にも評価されているが,可変間仕切りパネルはそれほど需要がないことがわかつた。また、吉田プロジェクトでは,可変インフィルに関する居住者支援および再使用促進のためのインフィル・マネジメント・システムが用意されているが,この仕組み自体やそのために実施されたワークショップなどに関する居住者の認知度は大変低く,現状の情報提供・居住者支援では不十分であることも確認された。 これらのことから、入居時だけでなく入居後の居住者支援や二次居住者に対する居住者支援を行う体制を整備することが、インフィル供給・管理システムを構築する上で不可欠であることが明らかになった。
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