研究課題/領域番号 |
12450255
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯島 嘉明 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70005411)
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研究分担者 |
高木 清一 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (70005966)
安彦 兼次 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80005959)
山崎 仁丈 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30292246)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 高純度 / Fe-Cr合金 / 拡散 / 体拡散 / 粒界拡散 / タングステン添加 / σ相 / 析出物 |
研究概要 |
本研究においては高クロム濃度の高純度Fe-Cr合金を製造し、従来のFe-Cr合金状態図に従えばσ相が当然出現する温度・組成領域を含む広い温度・組成範囲、特に高Cr域の高純度Fe-Cr合金について拡散の実験を詳細に行って、拡散中のσ相出現の有無を検討すると共に、Fe-Cr合金全濃度・温度域の拡散機構を解明することを目的とした。さらに、最近Wの添加が高温度強度向上に著しく寄与することが判明したので、Wの添加試料について粒界自己拡散の実験を行って、W添加による粒界強化機構を検討する。高純度Fe-50Cr、Fe-60Cr合金および超高純度Fe-50Cr-8W合金を溶製後拡散試料として調整し、それぞれの合金において体拡散係数および粒界拡散能を決定した。その結果、以下のことが明らかにされた。(1)923-1453Kの温度範囲において得られたFe-50Cr合金中の自己体拡散のアレニウスプロットはα-σ相変態温度である1103K以下の低温域においても直線性を示した。これは高純度Fe-50Cr合金においてはσ相はほとんど形成されず、体拡散係数に影響しないことを示唆している。(2)Fe-50Cr合金におけるCrおよびFeの粒界拡散のアレニウスプロットはそれぞれ低温で下方に曲がる傾向を示した。これは(Cr, Fe)_<23>C_6相が粒界に沿って生成したことによるものと考えられる。(3)1023-1373Kの温度範囲において得られたFe-50Cr-8W合金中のFeおよびCrの体拡散係数はFe-50Cr合金のものより小さいが、Fe-60Cr合金のものとほぼ同様であった。(4)タングステン添加は体拡散に対して実質的にクロム量の増加と同じ効果がある。(5)1103K以上の温度範囲において、Fe-50Cr-8W合金中のFeおよびCrの粒界拡散能はFe-50Cr合金のものに比べて1から1.5桁小さく、タングステン添加は粒内よりも粒界に強く影響を及ぼす。
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