研究課題/領域番号 |
12450261
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
竹内 伸 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (60013512)
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研究分担者 |
田村 隆治 東京理科大学, 基礎工学部, 助手 (50307708)
枝川 圭一 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (20223654)
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キーワード | 非周期構造 / 準結晶 / アモルファス金属 / 変形応力 / 計算機 / 転位 / パイエルス機構 |
研究概要 |
本年度は、準結晶及び近似結晶に関する塑性実験、アモルファス金属のモデルに関する計算機シミュレーションを行ない、変形機構について考察した。 1.2元系準結晶および近似結晶の塑性実験:近年発見された2元系の正20面体準結晶のCd_<84.6>Yb_<15.4>合金および組成の近いCd_6Yb1/1近似結晶の多結晶について世界で始めて塑性実験を行った。2元系準結晶の塑性挙動は基本的に3元系準結晶に類似したもので、(1)融点の3/4以上の高温で塑性変形し、(2)降伏応力の温度依存性が大きく、(3)著しい加工軟化を示し、高歪での変形応力は降伏応力の20%以下になる。1/1近似結晶も準結晶と類似の挙動を示し、準結晶、近似結晶ともに転位の運動を支配する熱活性化エンタルピーが塑性変形の増大とともに減少することが明らかになった。 2.準結晶の塑性変形機構:これまでの実験および計算機シミュレーションを基に、(1)準結晶(および近似結晶)の塑性変形はキンク形成エネルギーの分布するパイエルス機構で支配され、(2)塑性変形によるフェイゾン欠陥の導入とともに転位運動は次第に低い活性化エネルギーのキンク対形成が支配するようになる、と結論される。 3.アモルファス金属中の転位:逆モンテカルロ法を用いてNi-Nbアモルファス合金の構造モデルを作成し原子間ポテンシャルで緩和した。ある平面で上下を相対的にずらした時のエネルギー変化(Γ-surface)を計算した結果、2.5Å以下の変位に対しては初期状態に構造が緩和することが分かり、アモルファス中に安定に存在しうる転位のバーガースベクトルは約3Åであることが明らかになった。その転位のすべりに関するシミュレーションはまだ未完了であり、今後の課題である。
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