研究概要 |
高温領域での高効率発電システムとして期待されている、固体電解質を用いた燃料電池(SOFC)が将来的に広い応用分野で使われるためには、イオン伝導性材料や電極材料の性能向上のための革新的ブレークスルーが必要である.本研究では,材料の機能性を決定する大きな要因である界面を,ナノスケールで周期的に有するイオン伝導性(固体電解質)人工格子材料を作製する.本研究では,イオン伝導性超微粒子(0次元)や周期的ナノ孔内に導入されたイオン伝導性ナノ細線(1次元)を作製し,それら人工格子の構造の解析,及び格子内部や界面でのイオンダイナミクスを,光学的・電気化学的手法により評価し,高機能性固体電解質の開発に関する指針を得ることを目的としている。 本年度は、前年度までに整備したアルミナ系細孔テンプレートを用いた、高速原子線露光装置(FAB)を用いてのプロトン導電体SrCeO_3固体電解質薄膜上にこの構造を転写した構造を作製した。構造解析の結果、ナノ細線幅が50nm程度まで細くなると、バルク薄膜から構造が変化してくることがわかった。また、環境制御型走査型プローブ顕微鏡を行いて、作製した薄膜の表面電位を測定し、ナノ構造境界付近の試料表面での表面電位を測定した。その結果、表面吸着種の濃度が界面近傍において高くなっていることが分かった。
|