研究課題/領域番号 |
12450263
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
滝沢 博胤 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90226960)
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研究分担者 |
上田 恭太 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50271862)
遠藤 忠 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30176797)
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キーワード | マイクロ波加熱 / フェライト / アルモファス / スピネル型酸化物 / 強磁性 / 拡散 / ビクスバイト型酸化物 / ガーネット型酸化物 |
研究概要 |
高強度のマイクロ波照射下では、物質内でのマイクロ波損失により物質を自己発熱させることができる。本研究では、種々の酸化物のマイクロ波吸収強さをマイクロ波照射下における温度の経時変化(温度プロファイル)により計測し、マイクロ波吸収のメカニズムについて考察するとともに、マイクロ波照射によるアモルファス鉄複酸化物の合成を検討した。スピネル型鉄複酸化物においては、多くの組成でX線的アモルファス相が生成することを見出し、同組成の結晶相に類似した磁気的性質を示すことが明らかとなった。マイクロ波照射時の出力によって生成物は変化し、低出力側では結晶相、高出力側ではアモルファス相が生成する傾向が見出された。これより、高強度のマイクロ波電磁場と物質の相互作用が原子配列の周期性に影響を及ぼすものと推測される。 ガーネット組成の鉄複酸化物として、YIG-YAG固溶体のマイクロ波合成を行い、マイクロ波吸収特性の異なる多成分系の反応においては、拡散方向に選択性が出現し、非平衡相が生成することが明らかとなった。また、ピクスバイト型鉄複酸化物において、本来は反強磁性体である(In_<0.67>Fe_<0.33>)_2O_3相が、マイクロ波照射により弱い自発磁化を示すことを見出した。キュリー点は790Kと高温であり、強い磁気的交換相互作用の存在が示唆される。反強磁性的交換相互作用のバランスが、マイクロ波照射によって変化(スピンの傾角配置等)した可能性が考えられる。 以上の結果から、高強度のマイクロ波交番電磁場は、新規材料探索や物性発現に有効な場を与えていることが明らかとなった。
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