研究概要 |
平成12年度において得られた,アルカリ水溶液を用いてpHを制御することによる手法の最適化を行い,アルカリとして用いる水酸化ナトリウム水溶液とアンモニア水溶液との混合比の調整により,結晶化温度が100℃の幅をもつことを見出した.結果として500℃程度でBi-YIGの結晶化に成功した.次にボールミリングによるガーネット微粒子の均一分散手法について検討を行い,特にミリング時間と粒子構造,分散状態,磁性についての検討を行なった.その結果,粒子の結晶子寸法の分布が5〜40nmであり,ミリング時間の増加とともに,TEM観察から平均粒子寸法の大きな変化はないが,大きな粒子が減少し小さな結晶子が増加していく傾向が見られた.ただし,X線回折のピークの大幅な減少に対応する結晶性粒子の減少は観察されなかった.また粒子の分散性は時間とともに向上したが,磁化の減少が見られ,これはX線回折の結果とよく一致した.さらに,メスバウアー分光の結果も磁化の減少を支持する結果となり,粒子観察と磁性との関連性について十分な対応関係が得られていないことがわかった.一方,光学的・磁気光学的評価結果から,ミリング時間とともに透過率は急激に減少し飽和すること,ファラデー回転は透過率よりは緩やかに単調減少すること,その結果として30時間程度の最大の磁気光学性能指数が得られることがわかった.そのときの粒子分散状態と超常磁性限界寸法の見積もりとから,寸法として30〜50nmの粒子が凝集せずに均一に分散した状態を得ることにより最高の性能指数が得られるという指針を得た.
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