研究概要 |
本研究では,近年の各種情報通信機器の発達に伴い杜会環境問題となりつつある,有害電波によって引き起こされる電波障害対策用としてのBa系電波吸収フェライト材料の合成法としてガラスセラミック法を適用し,従来のスピネル型フェライトに比べ,より高周波帯域で使用可能な六方晶Y型Ba-フェライト(Ba_2M_2Fe_<12>O_<22>)をガラスマトリックス中へ析出させる条件を新規に確立することを目的とした.主な結果を以下に示す. 本年度は,2価の金属イオン成分としてZnおよびNiを選択し,目的とする結晶が析出するようガラス化範囲を決定するとともに,均一な溶融ガラスを作製する条件を見い出した.ついで,ガラスの熱処理条件を選定することによってガラスマトリックス中に結晶を析出させ,Y型Ba-フェライトの析出に適した組成や熱処理条件の検討を行った.M=Zn系では,Y型Ba-フェライトはM型Baフェライトを核として成長することを見い出した.この結晶の電波吸収特性の測定からは,初期の目的通り高周波GHz帯域(≒7GHz)での吸収が確認された.M=Ni系では,Zn系とは異なり,Y型Ba-フェライトはM型Baフェライトとスピネル型フェライトとの反応により生成することが分かった.この結晶の電波吸収特性の測定からは,高周波GHz帯域(≒5.5GHz)での吸収が確認された.以上のように本研究は、ガラスセラミック法で高周波電波吸収材料として有用なY型Ba-フェライトを作製する条件を明らかにすると同時に,組成によって電波吸収特性が変化することを確認した.
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