研究課題/領域番号 |
12450271
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
梅垣 高士 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (70087287)
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研究分担者 |
濱上 寿一 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (30285100)
金村 聖志 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (30169552)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 表面電位顕微鏡 / アパタイト結晶成長 / Bioglass / その場表面観察 / 擬似体液 |
研究概要 |
本研究の最終目標は、実材料表面における液中での反応を数十から数百ナノメートルスケールにて解析する手法として、走査型プローブ顕微鏡である原子間力顕微鏡(表面形状の情報)と表面電位顕微鏡(表面電位分布の情報)とを複合化させた測定系の構築にある。測定対象としては、生体関連材料のin vitro試験における骨類似アパタイト結晶成長過程を選択した。具体的には、生体活性ガラスの代表的な材料として知られている45S5 Bioglass【○!R】バルク試料を人の体液の無機イオン濃度に等しく調製された擬似体液(小久保溶液)中に浸漬させ、その結晶成長過程を上記顕微鏡により追跡するものである。今年度は、液中での表面電位分布の測定系の構築に関して検討を進めた。はじめに、市販されているカンチレバーを用いて液中での測定を行ったが、表面電位分布の明瞭な結果を得ることができなかった。そこで、液中でのカンチレバー表面を光学顕微鏡により観察した結果、カンチレバー表面に気泡の発生がみられた。これより、表面電位を測定する際、カンチレバー表面にて電解反応による気泡が生じ、表面電位の測定を妨げることが判明した。液中での電位分布の観察を行うためには、液中表面電位測定用の探針を使用することが望まれる。しかし、そのような探針は市販されておらず自作する必要がある。そこで、本研究においては探針に金をコーティングすることにより液中にて測定可能な探針を開発することとした。金は他の金属と比較して電気化学的な反応が生じにくい材質であり、これにより液中での気泡の発生を抑制することを試みた。カンチレバーの材質とコーティングした金の密着性が低いために、液中測定時に金が剥離する現象が観察された。密着性を高めるために基板加熱などの手法を取り入れたが、十分に納得できる結果が得られるまでには至っていない。この点については、今後の課題として残った。
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