研究課題/領域番号 |
12450273
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀章 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 教授 (60109270)
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研究分担者 |
笹井 亮 名古屋大学, 難処理人工物研究センター, 助手 (60314051)
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キーワード | 超高圧焼結 / 高ホウ素酸化物 / 超硬質材料 / 焼結材料 / マイクロビッカース硬度 / 破壊靭性 / 複合化 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、高ホウ素酸化物であるB_6Oの高温・高圧焼結挙動に加え、硬質物質であるダイヤモンドとの複合化およびその機械的特性の評価を行い、硬質材料としての可能性を探った。 (1)正十二面体ホウ素クラスターが酸素原子を取り囲んだ構造をもつB_6Oは、ホウ素原子間の強い共有結合性ゆえに、硬質かつ化学的安定性に優れた化合物である。しかし、B_6Oは、非常に焼結性が悪い。我々はこのB_6Oを超高温・高圧焼結により緻密な焼結体を作製できることを明らかにしてきた。しかし、機械的強度、破壊靭性の値は、実用材料としては未だ低い値であった。更なる材料特性の向上を目指し、物質中最高の硬度を誇るダイヤモンドとの複合化および、その複合焼結体の機械的特性に関する検討を行った。その結果、超高温・高圧焼結法を適用することにより、B_6O-ダイヤモンド複合焼結体を作製できることを明らかにした。その複合焼結体の硬度はダイヤモンド粒径に大きく依存し、ダイヤモンドの含量が低い場合にも硬度は、粒径の減少と共にダイヤモンドの硬度に近い値を示すようになることを明らかにした。また、破壊靭性に関しては、未だ実用レベルには達しないものの、複合効果による靱性の向上が認められた。 (2)上記で得られたダイヤモンド-B_6O複合焼結体について、硬質材料以外にも応用範囲を拡大するために、電磁気的な特性の評価を行った。その結果、ダイヤモンド粒径の低下に伴い、電気伝導性が観察されることを見出した。現在、この電気伝導の起源とその導電機構を明らかにするための検討を推進しているところである。 以上に関しては、すでに、その成果を研究論文として、学術雑誌にも投稿している。また、これらの成果の一部については、すでに国内外での学会発表を行っている。最新のデータに関しては、現在、発表及び投稿を計画中である。
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