研究概要 |
本年度は,(i)固溶体セラミックスのマトリックス内に分散させるナノ粒子自身の特性評価を目的として,金属間化合物であるニケイ化モリブデン(MoSi_2)の超高圧高温発生装置(超高圧プレス)による高密度焼結体の作製とその特性評価,および(ii)高圧高温下で作製した固溶体セラミックスの特性を把握するため,即ち,超高圧高温焼結に附随する問題点を抽出するため,単一相セラミックスのなかで難焼結性の酸化クロム(Cr_2O_3)の高圧高温焼結体の作製と特性評価を行った.(i)のMoSi_2(粒径〜2μm)は金属MoとSiの1/2モル比の混合圧粉体(成形体)をアルゴン(Ar)ガス中で自己燃焼させることによって合成し,さらに,新しい高圧用セル(セル(I))を開発して,1GPaの圧力下900°〜1200°Cの温度領域で30min熱処理し,相対密度〜99.8%(MoSi_2としては〜97%)の緻密でクラックフリーの焼結体を作製することに成功した.その機械的特性は三点曲げ強度σ_bは〜610 MPa,硬度H_v〜12.0 GPa,破壊靱性値K_<IC>は〜5.0 MPa・m^<1/2>であった、(ii)についてはヒドラジン法によりCr_2O_3の微粒子(〜0.1μm)粉体を合成し,これを高圧高温下で熱処理(1100℃/30min/1GPa)することにより,高密度セラミックス(密度>99.9%)を作製した.その際,Cr_2O_3粉体は微粒子であるため成形密度が低く,焼結する際,試料の収縮が大きくクラックが発生しやすかったので,微粒子粉体焼結用の新たな高圧用セル(セル(II))を開発した.得られたCr_2O_3セラミックスの機械的特性はσ_bは〜560MPa,硬度H_v〜10.6GPa,破壊靱性値K_<IC>は〜4.5MPa・m^<1/2>であった.
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