研究概要 |
初年度(平成12年度)は,マトリックスである固溶体セラミックスの緻密な試料をピストン・シリンダー型の高圧装置を用いて作製し,その微細構造と機械的特性を評価した.ゾル-ゲル法によりZrO_2/Al_2O_3=75/25モル%組成の微粒子の固溶体粉体を合成し,900°〜1100℃の温度範囲で1h-1GPaの条件で焼結を行った.クラックのない緻密な固溶体セラミックス(嵩密度5.34Mg/m^3,相対密度99.1%,平均粒径〜200nm)は950℃で作製した試料のみであり,その機械的特性は三点曲げ強度680MPa,破壊靱性値15.2MPa・m^<1/2>であった. 次年度は,(i)固溶体セラミックスのマトリックス内に分散させるナノ粒子自身の特性評価を目的として,金属間化合物であるMoSi_2の上記高圧プレスによる高密度焼結体の作製とその特性評価,および(ii)高温高圧下で作製した固溶体セラミックスの特性を把握するため,即ち,高温高圧焼結に附随する問題点を抽出するため,単一相セラミックスのなかでは難焼結性の酸化クロム(Cr_2O_3)の高温高圧焼結体の作製と特性評価を行った. 最終年度はマトリックスとして使用する固溶体セラミックスの合成法について検討した.通常のセラミックスの作製プロセス法である粉体合成・成形・焼結プロセスとは大幅に異なる自己燃焼合成(Self-propagating High-temperature Synthesis : SHS)法を用いて窒素(N)を固溶させた金属Ti(α-Ti(N))にさらに金属アルミニウム(Al)を添加・固溶させ高密度バルク体(相対密度【greater than or equal】98%)の合成同時焼結を試みた.種々の条件下で作製した試料を評価した結果,α-Ti_<1-x>Al_x(N)(0【less than or equal】x【less than or equal】0.08)組成のバルク固溶体が得られることが分かった.
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