研究概要 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分用オーバーパック材料である炭素鋼の腐食機構を解明し、オーバーパック材料として最適化された組成を持つ新低合金鋼を開発することを目的として、マグネタイトの水素過電圧を増加させ,かつ還元溶解を抑制する微量金属元素の探索と,そのような元素を添加した低合金鋼の試作と耐食性の評価を行い、以下のような成果を得た。 1.3元系よび4元系複合酸化物皮膜の作製とカソード分極特性の解析: Fe_3O_4-Cr_2O_3-TiO_2系およびFe_3O_4-Cr_2O_3-TiO_2-MoO_2系複合酸化物薄膜を作製し、0.1M-HClおよび模擬ベントナイト接触水(5.72mM-Na_2SO_4+7.99mM-NaHCO_3)中におけるカソード分極特性を調べた。その結果、Fe_3O_4-Cr_2O_3-TiO_2系酸化物(X_<Cr>≒0.13、X_<Ti>=0.07)にMoO_2(X_<Mo>=0.08)を添加すると還元溶解が極めて効果的に抑制されることなどが分かった。 2.オーバーパック用として最適化された組成を持つ低合金鋼の試作 : Fe_3O_4の還元溶解を抑制し,かつ水素過電圧を大きくする効果を持つことが明らかになった元素(Cr,Mo,Al,Ti,Cu,Ni,Nb)を単独および複合添加した合計15種類の低合金鋼を作製した。 3.試作した低合金鋼の腐食特性の評価 : 試作した低合金鋼の腐食特性を明らかにするために,模擬ペントナイト接触水中においてカソード分極曲線を測定した結果,CrおよびAlを添加すると水素電極反応が効果的に抑制されることが分かった。
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