本研究では、研究代表者が、世界に先駆け、独自に提案し精力的な研究を進めている"極微小空間のプラズマ材料工学"の基礎研究の中で発明した、"3次元的なナノスケールでの走査性に富むピエゾプローブ型微小ビームプラズマ"および、その材料表面処理・加工への展開を推進するものである。 本年度は、以下のような、(1)マイクロプラズマの物性評価、および、(2)その材料プロセシング装置の開発に着手した。 (1)マイクロプラズマの物性評価 ピエゾプローブ型RF(450MHz)プラズマの発生条件(真空度、流量、入力、プローブ径など)と発光分光測定によるプラズマ温度との相関関係を明らかにした。100Torr以下でガス温度6000〜4000℃程度の熱プラズマから非平衡・低温プラズマに転移していくことが確認された。またその測定のためのマイクロ発光分光装置の開発も行った。この装置はピエゾ駆動で3軸にNMオーダーで1mm程度まで位置制御可能な装置であり、今後、今回のマイクロプラズマ測定以外にもマイクロプラズマ診断技術のプラットフォームとしてその有用性が大いに期待できる。 (2)マイクロプラズマ材料プロセシング装置の開発 プロセス用のプロセスチャンバーを新たに作製した。排気系はロータリーポンプとターボポンプにより10-7Torr台までの排気が可能である。マイクロプラズマの駆動系としてピエゾシステムによりNMオーダーで1mm程度まで位置制御可能な装置である。電源としては、直流、および、高周波(400MHz程度)を用いる。来年度の本格的な利用が期待される。
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