研究課題/領域番号 |
12450289
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀池 靖浩 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20209274)
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研究分担者 |
中原 一彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70101095)
高村 褝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20290877)
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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キーワード | ヘルスケアデバイス / バイオチップ / マイクロキャピラリ / 健康マーカ / 電気浸透流ポンプ / ISFET / リンパ球分離 / 生体適合化 |
研究概要 |
「ヘルスケアチップ」創製のため、(1)低侵襲採血機構、(2)基板へのマイクロキャピラリ加工、(3)キャピラリ内壁の生体適合化、(4)血液の引き込みポンプ、(5)血球分離、(6)健康マーカ測定、(7)リンパ球分離の項目について研究した。(1)では、50μm径のSUS管を60度に研磨して作製したが、支持機構などは未検討で未達。(2)では、まず石英板へのキャピラリパターンのプラズマエッチングを行ったが、溝底部に孔の発生が起こり、これは石英表面に残っている微細なマスク材により生じることが判明し、最初高エネルギイオンでスパッタ洗浄後、低エネルギイオンでエッチングすることで解決。また、キャピラリの反転パターンのPET(ポリエチレンテレフタレート)板へのモールドも試み、温度、圧力の最適条件を見つけ、作製に成功。(3)では、生体膜表面と同じ組成のMPCポリマーと高分子ミセルのコートを試み、これらがFTIR-ATR法、キャピラリ内の血液凝固などの評価から、生体適合性に優れていることを証明し、一種の人工血管を実現した。(4)では、特にISFET(イオン感応電界型トランジスタ)の高電圧印加による絶縁破壊を危惧して、ISFETの下流側に設けるダウンストリーム型電気浸透流ポンプ考案し、更に、キャピラリ内壁面積を体積に比べて大きくすることで、低電圧駆動法を確立した。(5)では、電気浸透流ポンプでチップに引き込んだ全血を遠心分離により全血から血清の分離に成功した。(6)では、ISFET表面に種々のイオノフォア膜を検討し、これらをPETチップに埋み、キャピラリ内でNa^+、K^+、Ca^+の各イオンの検出と、各々に対する高選択比を確立し、同時にpH測定にも成功した。(7)では、まず電気泳導を優勢にし、またリンパ球の内壁への付着を抑えるため、石英キャピラリの内壁を高分子ミセルでコートして石英のゼータ電位を低減し、ラットの腸間膜から抽出したリンパ球を導入して、レーザ法によりTとB細胞の移動度を測定し、従来法と比べて同等の結果をマイクロキャピラリ内での始めての測定に成功した。
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