(1)黒鉛-酸化硼素混合粉体を出発試料として炭化硼素皮膜の合成を試みたが、分析に十分なほどの膜厚を得る条件を見いだせなかったため、炭化硼素と黒鉛の混合粉体を使って炭化硼素皮膜の形成に成功した。混合比率と加熱量の調整を経て、ほぼ10ミクロン毎に厚みを増やせる成膜が出来る条件を見出した。事前に用意したニッケル-クロム混合皮膜を基材とする本溶射により溶射材と基材による傾斜混合層の形成を確認した。皮膜は40GPaに達する微小硬度を有する緻密さを備えていた。 (2)ジルコニウム-酸化硼素混合粉体を出発試料として酸化ジルコニウム-ホウ化ジルコニウムから成る複合皮膜の合成に成功した。皮膜中には酸ホウ化ジルコニウムと推測される化合物も含まれることを見出した。混合比率と加熱量の調整を経て、ほぼ30ミクロン毎に厚みを増やせる成膜が出来る条件を見出した。事前に用意したニッケル-クロム混合皮膜を基材とする本溶射により溶射材と基材による傾斜混合層の形成を確認した。約40ミクロン厚みのセラミックス単独のトップコート層と100ミクロン程度の傾斜混合層から成る皮膜を形成に成功し、出発粉体への投入エネルギーを調整することによる傾斜皮膜の形成方法を見出した。トップコート層は20GPaに達する微小硬度を有する緻密さを備えていた。この皮膜について1273Kまでの加熱試験を行い、組成と組織の安定性を確認した。 (3)本研究により得られた成果を、高温学会溶射部会主催の第10回溶射総合討論会と電気、機械学会主催の第13回電磁力関連のダイナミクスシンポジウムにて発表した。また、第14回電磁力関連のダイナミクスシンポジウムと電気学会一般産業研究会にて発表予定(申込済み)である。
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