研究概要 |
高温形状記憶現象を示すCu-Be合金は,外力を負荷させて時効を行うと,外力を負荷していた方向に自発的に大きく変形する.Cu-Be合金を平等強さ梁(二等辺三角形状)に加工して,時効によって自発的に変形する(時効誘起変形)ひずみを定量的に求めたところ,時効前のひずみ(初期ひずみ)が弾性限以上であれば時効誘起変形のひずみ(時効ひずみ)はほぼ一定の大きさ(約1%)を示すことを明らかにした.また,応力負荷再現実験では,引張力を与えて時効したCu-Be合金は,その後無負荷状態で時効すると引張力を与えていた方向に自発的に伸張することがわかった.このことは,片持ち梁のように曲げ変形を与えて時効誘起変形を起こさせた場合,曲げた面の圧縮側のみならず,引張面側でも自発的変形に重要な役割を果たしていることを示している.そして,引張側の組織は圧縮側に比べて著しく粗大な組織を形成することなどを明らかにした.
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