研究課題/領域番号 |
12450311
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
駒沢 勲 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (40029476)
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研究分担者 |
平井 隆之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (80208800)
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キーワード | ナノ粒子 / 逆ミセル / 量子サイズ効果 / 光触媒 / 複合材料 / 光化学反応 / 水素製造 / メソポーラスシリカ |
研究概要 |
ナノサイズに超微粒子化された材料は量子サイズ効果などに基づく新規な機能を発現できる機能材料として期待されている。ナノ超微粒子は逆ミセルなどの微小反応場を用いることによりサイズ選択的に調製できるが、調製した後の回収・固定化などの材料化プロセシング技術の開発に関する研究が不足している。本研究では、主として逆ミセル中で調製した半導体ナノ粒子の回収・固定化による複合材料の創製と機能発現に関する研究を行った。 1.高分子材料を担体とするナノ超微粒子のプロセシング技術の開発と複合機能材料の創製 種々の官能基で修飾できるポリスチレンにチオール基を導入したものを担体とし、これをCdSナノ粒子を調製した逆ミセル溶液に添加して攪拌することによって、簡便にナノCdS固定化ポリスチレン粒子を調製できた。得られた複合材料PSt-CdSを水の光分解による水素発生のための光触媒として利用した。犠牲剤(2-プロパノール)存在下での可視光(波長400nm以上)照射によって水素生成が認められた。光照射によるCdSナノ粒子がやや凝集を起こすことが認められたが、これは逆ミセル中での調製段階でCdSナノ粒子の表面をZnSでコートすることによって抑制できた。種々のCdS粒子径および吸収端波長ををもつPSt-CdSを調製することができ、照射する光線の波長域に適応した複合材料の特性制御を容易に達成できることを示した。 2.無機多孔体材料を担体とするナノ超微粒子のプロセシング技術の開発と複合機能材料の創製 数ナノメートル径の揃った細孔をもつメソポーラスシリカは、各種の触媒材料への応用が期待されている。種々の細孔径をもつメソポーラスシリカの表面をチオール基で修飾したものを担体とし、これをCdSナノ粒子を調製した逆ミセル溶液に添加して攪拌することによって、メソ細孔内にCdSナノ粒子を固定化した。この際、細孔径より小さなCdSナノ粒子のみが固定化されるというふるい効果が認められ、「粒子ふるい効果」と名付けた。調製した複合材料は、水の光分解による水素発生のための光触媒として機能し、水素発生量がメソ細孔径の増加とともに増大するという関係を示すことを明らかにした。
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