超臨界二酸化炭素雰囲気においてポリ乳酸(PLA)の結晶加速度測定を行った。測定には高圧ATRセルを備えたFT/IRを用い、1266cm^<-1>における吸光度変化とXRDによる結晶化度測定値を関連づけることにより結晶化度を定量した。通常の液体溶媒結晶化において結晶化速度を定量する場合、液体溶媒の溶解速度が遅いため結晶化速度のみを抽出するのは困難であるが、本測定法では試料の厚さを薄くできるため、二酸化炭素の溶解平衡に到達するのが短時間(前年度の拡散係数の測定結果から堆算したところ10μm試料で9秒以内)で終了し、溶解速度の影響を受けていない結晶化速度のみを測定可能であることが期待できる。この点を確認するために試料の塗布厚さを10、50、100、250μmの4種腫について、結晶化速度の測定を行った。この結果10と50μmの試料では吸光度変化の経時変化はほとんど同じとなったが、100と250μmでは厚くなるにつれ結晶化速度が遅くなることが判明した。このため以降の測定では10-20μmの厚さの試料を用い解析を行った。 1、2MPaの処理圧力ではXRD法では結晶の存在は確認できなかったにもかかわらず、FT/IRによる測定結果では結晶の存在を示唆していた。これはXRDでは検出できない微細な結晶の可能性があると考えられた。この結果を確認するために処理した試料のDSC測定を行ったところ、処理圧力が高いほど冷結晶化の結晶化開始温度が低くなり、微細な結晶の存在を示す結果であった。また、吸光度の経時変化から、結晶化の初期に急激な微結晶の生成が生じその後しばらくおいた後、ゆっくりとした結晶の成長が生じているという結晶化の機構が明らかになった。
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