研究概要 |
液体原料CVD法による誘電体薄膜の製造に対して、薄膜製造のスケールアップ特性の評価に念頭を置き、薄膜製造実験およびモデル計算による検討を行い、以下のような結果を得た。 まず、実験的には、 1)面温度を700℃まで制御できるCVD薄膜製造装置を、管状型電気炉および真空ポンプを用いて製作し、CVD反応装置の内部および壁面の温度分布を測定し、管内圧力を約1Torrまで減圧できるようにした。 2)高誘電体材料である(Ba,Sr)TiO_3(BST:チタン酸バリウムストロンチウム)の成膜実験を行い、成膜された石英管を取り出し、反応器の入り口から一定間隔で切断し、薄膜の厚み分布を電子顕微鏡、レーザ光干渉型膜厚計測装置で計測した。また、結晶構造をX線回折装置、微結晶サイズを電子顕微鏡でそれぞれ計測し、電気特性をLCRメータで計測した。 3)以上の結果から薄膜の成長速度、表面形態、結晶形に及ぼす操作条件の影響を実験的に明らかにした。 一方、モデル計算では、 1)Ba,SrおよびTiの多成分系のプリカーサを含むガスの高温場での反応特性を、反応生成ガスの濃度分布を拡散方程式の数値計算より求めた。さらに、反応器内のガスの温度分布および流速分布をエネルギー方程式および運動量方程式の数値計算より求めた。 2)数値計算から得られた反応生成物の濃度分布から、各成分の堆積速度を求めたところ、反応器内の成膜速度分布は、実験結果を良く説明できることがわかった。
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