研究課題/領域番号 |
12450324
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
井上 泰宣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (30016133)
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研究分担者 |
斉藤 信雄 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (40313572)
西山 洋 長岡技術科学大学, 分析計測センター, 助手 (50303186)
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キーワード | 共鳴振動効果 / 固体触媒 / 仕事関数 / 格子変位 / 表面電位 / 反応選択性 / パラジウム / 銀 |
研究概要 |
本年度は、固体の触媒作用の活性化およぴ反応選択性の変化をもたらす共鳴振動効果の機構を明らかにするため、触媒表面の物性に与える共鳴振動効果を、仕事関数の変化、格子変位の大きさと分布、およぴ表面電位の変化に基づき調べた。触媒素子の金属表面に紫外光領域の走査光を照射した場合に、光電効果によりAg金属表面から放出される電子の閾エネルギー値は、zカット.LiNbO_3(z.LN)強誘電体結晶基板上に発生する共鳴振動によって高エネルギー側にシフトし、共鳴振動を停止すると元の閾エネルギー値に戻った。同様の変化は、Pd金属表面についても観測された。この結果より、共鳴振動により触媒表面の仕事関数が増加することが新たに見出された。z.LN基板に印加する電力の増加とともに、Ag表面の仕事関数は増加し、5Wの電力印加により0.16eVのシフトとなった。レーザードップラー変位計により、z.LN結晶基板の共鳴振動においては、Ag表面に垂直な定在波が発生し、5W印加で70nmの格子変位が生じることが示された。また、ケルビン法により、共鳴振動中に発生する表面電位の測定において、正分極面では負の電圧が、逆に負分極面では、正の電圧が発生することが示された。以上の結果を元に、共鳴振動効果では、表面に垂直な格子振動が、触媒金属表面の仕事関数を増加させ、エタノール分子の弱い吸着を引き起こすことを示し、弱吸着エタノール分子種はOH基の引き抜きを容易にする吸着状態をとることから、エチレン生成が促進されるモデルを提案し、共鳴振動効果の機構を明らかにした。
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