研究課題/領域番号 |
12450334
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大森 斉 岡山大学, 工学部, 教授 (70116440)
|
研究分担者 |
金山 直樹 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (70304334)
|
キーワード | 抗体 / 胚中心 / 親和性成熟 / 体細胞変異 / V(D)J再構 / RAG遺伝子 / IL-7 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
胚中心ではBCR遺伝子の体細胞変異による多様化と高親和性抗体産生クローンの選択により抗体の親和性成熟が進行する。一方我々は、胚中心B細胞においてRAG遺伝子が発現し、抗体遺伝子の再構成が行われることを認めている。そこで抗体の親和性成熟の過程に、体細胞変異の他にRAGによる抗体遺伝子の2次的再構成が直接寄与しているかどうか検討した。抗NPmAb(17.2.25)のVHDJH(VHT)を一方のalleleのJH部位に組み込んだ(QMxC57BL/6)F1マウス(以下F1と略称)を用いた(表現型VHT/JHk+/k-1+/1+)。F1マウスを、そのBCRに対して低親和性のハプテンであるp-nitrophenyl(pNP)-CGGで免疫し、pNPに対する親和性成熟過程を解析した。pNPでF1を免疫すると、クラススイッチを伴う抗pNP応答が誘導され、免疫後8日から16日にかけてpNPに対する親和性成熟が進行することが確認された。多数の抗pNP IgG抗体産生ハイブリドーマの解析から、(1)λ鎖を獲得することが親和性の上昇に重要であること、(2)V領域の塩基配列が完全に一致するH鎖を有し、κおよびλ鎖と会合している独立のクローンが確認されたこと、(3)高親和性抗体の出現はリンパ組織におけるλ鎖の新規な再構成に依存すること、(4)抗pNP IgG抗体はノックインされたVHTをほとんど用いていないこと、などが確認された。これらの結果は、抗体の親和性成熟の過程に、従来教科書に書かれている体細胞変異のみならず、2次的V(D)J再構成によるB細胞レパトアの多様化も関与していることを示すものであり、親和性成熟のプロセスの新規な機構の発見として重要である。
|