研究概要 |
液液界面計測のために独自に開発してきた時間分解準弾性レーザー散乱法を,従来の界面張力のみならず,界面張力さらには屈折率変化も非破壊・非接触でリアルタイムに二次元測定できる装置に高度化することが目的である。それにより,液体界面における分子吸着量・配向変化をミリ秒オーダーで追跡可能となり,新たな知見が得られることが期待される。 従来は,界面直下から532nm(Nd:YAG)レーザー光を用いて,その0次光が界面張力波によってドップラーシフトを受けた散乱光と途中の回折格子によって回折された光をヘテロダイン計測することにより界面張力波周波数を求めていた。このままでは,顕微鏡下への発展は困難なため,今年度は,二次元イメージングに適用可能な単一レンズによる反射型光学配置による準弾性レーザー散乱法の開発を手がけた。単一のレンズにおいてレンズ中心からやや離した位置に参照光を,レンズ中心に0次光を導入し,参照光の反射光と散乱光とのへテロダイン計測を考案し,試作した。その結果,従来法同様の界面張力波を検出可能とし,さらには低周波数側のノイズ成分を減少させることに成功した。 本反射型光学配置は,液相片側が不透明試料でも適用可能なことから,ジアゾカップリング反応の相関移動触媒系の解析に応用し,液液界面での反応物質吸着に関する新たな知見も得た。今後,本手法にブリュースター角反射率変化測定系を組み込み,界面張力・屈折率変化の二次元分布測定に取り組む予定である。
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