研究課題/領域番号 |
12450337
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柘植 新 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60023157)
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研究分担者 |
北川 邦行 高温エネルギー変換研究センター, 助教授 (00093021)
石田 康行 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (70273266)
大谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50176921)
渡辺 忠一 フロンティア, ラボ(株), 主任研究員
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キーワード | 熱分解 / シリコーン系難燃剤 / ポリカーボネート樹脂 / 架橋 / 熱分解ガスクロマトグラフィー / 水酸化テトラメチルアンモニウム |
研究概要 |
シリコーン系難燃剤は燃焼時にもほとんど有害物質を生成しない、環境調和型の難燃剤として注目されており、電子事務機器などに使用されているポリカーボネート(PC)樹脂に対して効果的な難燃剤として既に実用化されている。本年度は、シリコーン系難燃剤を添加したポリカーボネート樹脂(FR-PC)を加熱処理し、その化学構造を有機アルカリの一種である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)共存下での反応熱分解ガスクロマトグラフィー(反応Py-GC)により解析することにより、加熱処理過程で起こる化学構造変化を追跡して、シリコーン系難燃剤の作用機構を解明することを試みた。ここでは、基材であるPC樹脂に、3官能のフェニルシロキサン単位90mol%と、2官能のジメチルシロキサン単位10mol%との共重合体であるシリコーン系難燃剤5重量%を基材ポリマーに混練することにより調製したFR-PC試料を、窒素流下、380℃で2時間加熱処理したものを反応Py-GC測定に供した。得られたパイログラム上には、PC主鎖を構成するビスフェノールAのジメチルエーテルの主ピークや、末端基に由来するp-tert-ブチルアニソールのピークに加えて、シリコーン系難燃剤からフェニル基が脱離して生成したケイ素ラジカルが、基材ポリマー分子と結合することにより形成した架橋構造に由来するピーク群がはっきりと観測された。この結果から、FR-PCでは、加熱によりシリコーンとPCの間で架橋が進行しており、FR-PCが実際に燃焼するときも、シリコーンとPCが架橋し、炭化層の形成を促進して熱分解を抑制することにより難燃効果の発現を招来していることが示唆された。
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