研究課題/領域番号 |
12450340
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
工業分析化学
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
保母 敏行 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (00087321)
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研究分担者 |
下坂 琢哉 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (40295473)
中釜 達朗 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (50244421)
内山 一美 東京都立大学, 工学研究科, 助教授 (40151899)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | クロマトグラフィー / シクロデキストリン / 光応答性 / 多環芳香族炭化水素 / 光学異性体 / アゾベンゼン |
研究概要 |
新規化学物質の創製、生体機構の解明あるいは環境汚染物質の探索などにおいて、カラム、薄層あるいは液体クロマトグラフィーなどは必要不可欠な分離法である。これらの分離法では分離特性を調節するために抽出溶媒、移動相として有機溶媒を用いることが多いが、生態系に有害なものが多い。本研究では、移動相の特性ではなく、固定相自体の性質を外部場(光)により変えることによって、限られた、しかし安全で環境に優しい溶媒を移動相として使用しても多様な分離特性を発揮できる分離手法の開発を行った。 まず、アゾベンゼン部位を修飾したγ-シクロデキストリン(CD)を光応答性分子認識部位とし、シリカゲルに化学結合させた充填剤(AzCDシリカ)を調製し、逆相系マイクロ液体クロマトグラフを用いてその分離特性およびその紫外・可視光に対する応答性を検討した。モデル試料として7種類の多環芳香族炭化水素を用いた。本充填剤に紫外光を照射したところ、ペンタセンなどの比較的幅の狭い試料分子の保持は減少し、ペリレンなどの幅広い分子の保持は逆に増加した。可視光照射を行うと保持は復元した。単一の移動相を用いた恒温下で、紫外光照射時間を制御することにより、6種類の分子認識能(溶出順序)を発現させることに成功した。 また、CDの光学異性体に対する認識能(キラル認識能)に着目し、この認識能を光照射により制御する試みを行った。AzCDシリカに紫外光を照射すると、試料の分子形状の違いによって異なる光応答性が認められた。例えば、ダンシルフェニルアラニンの保持能およびキラル認識能は紫外光照射により増加するのに対し、ジニトロベンゾイルナフチルエチルアミンのそれらは共に減少した。この結果は、試料の分子形状を誘導体化によって変えることにより、保持能およびキラル認識能を光照射により意図的に変えられることを示唆した。
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