高分子ナノ組織体を用いた導波路型光分子センシングデバイスの開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450342
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 宮下 徳治 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40124630)
• 研究分担者: 青木 純 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (50250709)
• キーワード: LB膜 / 光導波路 / 表面プラズモン / 電荷移動錯体 / 高分子 / 光スイッチング

研究概要

本申請研究ではラングミュアー・プロジェット(LB)法によりpHや酸素などの外部刺激応答性分子と光機能性分子からなる高分子ナノ組織体を高度に組織化し、光導波路分光法と組合せることにより、高分子ナノ組織体の界面における静的あるいは動的挙動を評価するとともに全く新規な光分子センシングテバイスの開発を目的としている。当該年度では以下のことが明らかとなった。
1)光導波路分光法の開発と性能評価
石英光導波路上のアントラセン高分子LB膜を累積し、界面・表面分光計により、アントラセン高分子LB膜1層の吸収スペクトルの測定を行った。透過型吸収測定装置と比較することにより、光導波路分光法の性能について検討を行った。従来型の透過型分光法に比べ、200倍の感度が得られること、また紫外光領域の吸収スペクトルを高S/N比で測定できることが明らかとなった。アントラセン高分子LB膜の光架橋反応をin situ観測し、層構造との関係を明らかにすることに成功した。
2)高分子LB膜のポジ型フォトパターン形成過程の検討
光分解性高分子LB膜のポジ型フォトパターニングについて表面ピラズモン共鳴法により検討を行った。ガラス基板上に金、銀の金属薄膜を蒸着し、種々の高分子LB膜を累積した。フォトパターン形成過程と耐エッチング性の評価法としてこの手法が有効であることが示された。
3)電荷移動錯体を利用した光スイッチ素子の開発
ピレン高分子LB膜と電子ドナー性及びアクセプター性の高分子LB膜を作製した。電子ドナー性、アクセプター性いずれのLB膜もピレンの蛍光を効率よく消光し、これは層間での電荷移動錯体形成に基づく。このLB膜を用いて、銀表面上に積層体を構築し、表面プラズモン共鳴法と組み合わせた光スイッチ素子を開発した。350nmのランプ光をポンプ光、441.6nmのHe-Cdレーザー光をモニター光として可逆的な光スイッチングを行うことに成功した。

研究成果

• [文献書誌] M.Mitsushi, T.Tamura, J.Matsui, J.Chen, T.Miyashita: "In situ Monitoring of Photochemical Reaction in Polymer LB films by Waveguide Spectroscopy"Langmuir. 17. 7449-7551 (2001)
• [文献書誌] M.Mitsushi, T.Li, T.Miyashita: "In situ observation of Deep UV Patterning in Polymer LB Films Studied by Surface Plasmon Spectroscopy"Mol. Cryst. Liq. Cryst.,. 370. 269-272 (2001)
• [文献書誌] N.Fukuda, M.Mitsushi, A.Aoki, T.Miyashita: "Enhancement of an Anodic Photocurrent for Polymer Langmuir-Blodgett Monolayer Containing Tris(2,2'-bipyridine)ruthenium Complex by Surface Plasmon Excitation"Chem. Lett.,. 50・9. 378-379 (2001)
• [文献書誌] 宮下 徳冶, 三ツ石方也: "LB膜-ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望"高分子. 50・9. 644-647 (2001)
• [文献書誌] M.Ide, A.Mitamura, T.Miyashita.: "Non-specific and Specific Adsorption of Proteins on Langmuir-Blodgett Films of Aning Acid Derivative Polymers"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 74. 1355-1359 (2001)
• [文献書誌] J.Matsui, M.Mitsuishi, T.Miyashita.: "Molecular Orientaion and Motion of Pyrene Molecules at the Interface of Polymer LB Films"Studies Surface Sci. Cat.. 132. 573-576 (2001)