層状チタン酸のナノ構造制御による可視光活性光触媒の創製

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450349
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 佐藤 次雄 東北大学, 反応化学研究所, 教授 (90091694)
• 研究分担者: 殷 シュウ 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (40271994) ; 内田 聡 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (18030547)
• キーワード: 四チタン酸 / 酸化鉄 / インターカレーション / 光触媒 / 可視光 / タンタルタングステン酸 / 水熱晶析反応 / イオン交換反応

研究概要

固相法で合成した合成したK_2Ti_4O_9およびLiTaWO_6を塩酸中でイオン交換し合成したH_2Ti_4O_9およびHTaWO_6をホスト層として用い、硫酸鉄水溶液中における水熱晶析反応および三核鉄酢酸錯体とのイオン交換/紫外線照射により層間に酸化鉄を包接したナノ複合体を合成した。これらの試料を0.1MNa_2S溶液に試料を加え、100W高圧水銀ランプの波長400nm以上の可視光を照射し生成する水素量を測定した。
H_2Ti_4O_9を1MFeSO_4水溶液中で水熱処理したところ、H_2Ti_4O_9は150℃付近から分解し始め、250℃で完全にアナターゼに分解した。試料中に取込まれた鉄イオン量は、120℃で最大(16wt%)となり、250℃では3wt%であった。これより、試料表面に吸着された鉄イオン量は僅かであり、大部分が層間に包接されたものと思われる。酸化鉄およびH_2Ti_4O_9のいずれも単独では可視光照射下で水素生成活性を示さなかったが、酸化鉄包接H_2Ti_4O_9は水素生成活性を示し、光触媒活性は、鉄イオン含有量の増加と共に向上した。また、水熱処理後の試料を空気中300℃で仮焼するとさらに活性が向上した。
三核鉄酢酸錯体とH_2Ti_4O_9とのイオン交換反応では、鉄イオン濃度40.2wt%、比表面積100m^2/gの試料が得られ、水熱晶析反応より、鉄イオン含有量および比表面積のいずれも大きかったが、光触媒活性は、水熱晶析-仮焼により合成したものより低かった。
ホスト層状化合物としてHTaWO_6を用いた場合も同様の結果が得られた。これは、イオン交換-UV照射により包接された酸化鉄の結晶化度が低かったためと無われる。

研究成果

• [文献書誌] S.Tawkaew,Y.Fujishiro,S.Uchida and T.Sato: "Preparation of CdS-pillared H_4Nb_6O_<17> and Photochemical Reduction of Nitrate under Visible Light Irradiation."Korean Journal of Ceramics. 6巻. 4-46 (2000)
• [文献書誌] M.Yanagisawa,S.Uchida,Y.Fujishiro and T.Sato: "Synthesis and Photocatalytic Properties of TiO_2 Intercalated H_4Nb_6O_<17>"Molecular Crystal and Liquid Crystal. 341巻. 231-236 (2000)
• [文献書誌] S.Tawkaew,S.Uchida,Y.Fujishiro and T.Sato: "Photoreduction of NO_3^- and NO_2^- under Visible Light Irradiation with Layered H_4Nb_6O_<17>/CdS and H_2Ti_4O_9/CdS Nanocomposites"Molecular Crystal and Liquid Crystal. 341巻. 237-242 (2000)
• [文献書誌] S.Ekambaram,M.Yanagisawa,S.Uchida,Y.Fujishiro and T.Sato: "Synthesis and Photocatalytic Properties of Hectorite/(Pt, TiO_2) and H_4Nb_6O_<17>/(Pt,TiO_2) Nanocomposites"Molecular Crystal and Liquid Crystal. 341巻. 213-218 (2000)
• [文献書誌] S.Yin,S.Uchida,Y.Fujishiro,J.Wu,M.Aki and T.Sato: "Photocatalytic Properties of Titania Prepared by the Solvothermal Reactions of Protonic Layered Tetratitanate"International Journal of Inorganic Materials. 2巻. 325-331 (2000)
• [文献書誌] M.Yanagisawa,S.Uchida and T.Sato: "Synthesis and Photochemical Properties of Cu^<2+> Doped Layered Titanate"International Journal of Inorganic Matrials. 2巻. 339-346 (2000)