層状チタン酸のナノ構造制御による可視光活性光触媒の創製

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450349
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 佐藤 次雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (90091694)
• 研究分担者: 内田 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (60232849) ; 殷 シュウ 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (40271994)
• キーワード: タンタルタングステン酸 / 酸化チタン / 白金 / インターカレーション / ナノ複合体 / 光化学特性 / 光触媒活性 / 可視光応答性

研究概要

固相法で合成したLiTaWO_6を硝酸中でイオン交換し合成したHTaWO_6をホスト層として用い、[Pt(NH_3)_4]Cl_2水溶液と反応させ、層間に[Pt(NH_3)_4]^<2+>をインターカレートした後、紫外線照射し、層間にPtを光析出させた。その後、得られた試料にプロピルアミンをイオン交換で挿入した後、チタニアの透明コロイド溶液と反応させ、さらに紫外線照射により層間にチタニアを包装したナノ複合体を合成した。これらの試料を10vol%メタノール水溶液に加え、4500W高圧水銀ランプの波長400nm以上の可視光を照射し精製する水素量を測定した。HTaWO_6は、単独ではメタノール水溶液中で不安定であり、紫外線照射するとTa_2O_5とH_2WO_4に分解した。一方、HTaWO_6に白金およびチタニアを包装したHTaWO_6/(Pt,TiO_2)ナノ複合体は、光化学的に安定であり、可視照射下で水素生成反応に対する優れた光触媒活性を示した。
HTaWO_6/(Pt,TiO_2)の可視光応答性は層間にルチル型チタニアが高分散で包接されたことによると推察された。

研究成果

• [文献書誌] Shu Yin, Ruixing Li, Qinglin He, Tsugio Sato: "Low Tempereture Synthesis of Nanosize Rutile Titania Crystal in Liquid Media"Materials Chemistry and Physics. 75. 76-80 (2002)
• [文献書誌] Shu Yin, Hitoshi Hasegawa, Tsugio Sato: "Phase-Compositional and Morphological Control of Titania Nanoparticles via Low Temperature Dissolution-Reprecipitation Process in Liquid Media"Chemistry Letters. 31. 564-565 (2002)
• [文献書誌] Masaru Yanagisawa, Yoshitaka Yamamoto, Tsugio Sato: "Synthesis and Photocatalytic Properties of Iron Oxide Pillared Hydrogen Tetratitanate via Soft Solution Chemical Routes"Solid State of Ionics. 151. 371-376 (2002)
• [文献書誌] Shu Yin, Daisaku Maeda, Masayuki Ishitsuka, Jihuai Wu, Tsugio Sato: "Synthesis of HTaWO_6/(Pt,TiO_2) Nanocomposite with High Photocatalytic Activities for Hydrogen Evolution and Nitrogen Monoxide Destruction"Solid State of Ionics. 151. 377-383 (2002)
• [文献書誌] 佐藤次雄, 殷シュウ: "二次元空間を利用するナノ複合体の合成-層状化合物の二次元空間を利用したナノ複合体の作成と光触媒性-"セラミックス. 37. 594-597 (2002)
• [文献書誌] 佐藤次雄, 殷シュウ: "層間ナノコンポジットの調製と光触媒作用"触媒. 44. 234-239 (2002)
• [文献書誌] 佐藤次雄: "可視光応答型光触媒開発の最前線:層状化合物および低次酸化物を利用した可視光応答型光触媒の開発と環境浄化への応用"(株)エヌ・ティー・エス. 52 (2002)