研究概要 |
13年度は3年計画の研究の2年目であり,ガラス空隙度を測定手段としてのシェリュプスキー法の検討を12年度に本研究費で購入した装置により行うと共に,他の方法により空隙度に関係する物性評価を行った。また,これらの方法ではガラスを破砕し、破砕試料について測定を行うため,種々の雰囲気中で破砕を行いその影響を検討した。その際に破砕雰囲気として用いた溶媒中の水分量を測定するために,本年度研究費で購入したカールフィッシャー水分計を用いた。 シェリュプスキー法による測定では,シリカガラスおよびパイレックスガラスでは破砕直後の光透過率は40%以下であるがアニール(熱処理)により95%以上になるため空隙度が大きいこと,これに対しソーダ石灰ガラスではアニール(熱処理)による光透過率の上昇が10%以下であり空隙度が小さいことが判明した。また,パイレックスガラスは熱処理条件によっては処理時間と共に光透過率が減少し,これは分相の影響であること,およびその挙動からシェリュプスキー法はバルク試料に対する光透過測定に比べて分相に対する感度が非常に高いことが判明した。 シリカガラスについてはシェリュプスキー法による測定と平行して,ESRによるE'欠陥量の測定と溶解熱による内部エネルギー測定を行った。その結果,この両者とも破砕を不活性雰囲気中で行った方が水分存在下で行った場合よりも破砕による構造変化が大きいことが判明した。また緩和挙動の測定から、シェリュプスキー測定と内部エネルギーとは同じ緩和挙動であるが、E'欠陥量の緩和はこれらと異なることが判明した。
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