研究概要 |
14年度は3年計画の最終年であり,ガラス空隙度をシェリュプスキー法により測定すると共に,空隙度に関係する物性評価として破壊特性評価を行った。 シェリュプスキー法による空隙度測定より,破砕に伴う高密度化を熱処理により緩和させたとき,空隙度の小さいガラスではデバイ型の緩和挙動が生じるのに対し,空隙度の大きいガラスでは非デバイ型の緩和挙動を生じ,緩和の活性化エネルギーに分布があることが明らかになった。 また,破砕に伴う高密度化を破砕試料のフッ酸に対する溶解熱測定によって研究した結果,空隙度の小さいガラスでは破砕に伴う内部エネルギーの上昇は小さく,空隙度の大きいガラスでは破砕に伴う内部エネルギーの上昇が大きいことが明らかになった。 12,13年度の研究で,空隙度と破壊挙動は関連性が深いと予想されたため,空隙度の異なるケイ酸塩ガラスの破壊挙動を,スクラッチ試験により測定した。その結果,空隙度が非常に小さいガラスでは圧子通過時の圧力により低荷重でもクラックが非常に生じやすいが,空隙度が非常に大きいガラスでもスクラッチ除荷後の残留応力によりクラックが生じやすくなるためクラック生成荷重はあまり高くはならず,クラック生成荷重が高い値を持つには最適な空隙度が存在することが明らかになった。また,ケイ酸塩以外のガラスについても,比較のために破壊挙動を測定した。
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