研究概要 |
1.1,6-ジイン類とペンタメチルシクロペンタジエニルクロロルテニウム(II)活性種から発生させた3-ルテナビシクロ[3.3.0]オクタ-1,4-ジエン中間錯体が、1,6-ジイン類と末端アルキン類、ならびマロノニトリルと高選択的な触媒的付加環化を起こし、対応するインデンおよび双環状ピリジン誘導体が生成することを発見した。本反応は非対称構造を持つ1,6-ジインを基質に用いることにより、高位置選択的にメタ置換アリーンまたは2,6-二置換ピリジン誘導体を構築できることも明らかにした。 また、1,6-ジイン類とインデニルクロロルテニウム(II)活性種から発生させた3-ルテナビシクロ[3.3.0]オクタ-1,4-ジエン中間錯体が、ビス・カルベノイド活性種、3-ルテナビシクロ[3.3.0]オクタ-1,3,4-トリエンとして挙動し、歪みをもつ環状アルケン類と新規なビス・シクロプロパン化反応を起こすことを発見した。 2.1,6-ジエン類が、(1,5-シクロオクタジエン)ジクロロルテニウムとイソプロパノールから発生する配位不飽和クロロヒドリド活性種により、高位置選択的にメチレンシクロペンタンに環化異性化する分子内ヒドロビニル化を発見し、その重水素ラベル実験を行い、ヒドリド・ルテナシクロペンタン4価錯体を経由する反応機構を提唱した。 3.ロジウムカチオン錯体触媒の存在下に、不飽和エステルとヒドロシランから発生するエノラート中間体がアリル化合物と触媒的カップリングをする斬新な3成分一段カップリングを創製した。 4.パラジウム(0)錯体と両末端にカルボメトキシ基をもつ1,9-ジオキサ-1,6,11-トリインから、3個のアルキン部位が平面3配位した新規錯体を合成し構造決定した。さらにこのトリイン錯体は基質トリインの分子内[2+2+2]触媒的付加環化の中間体であることを実証した。
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