研究概要 |
1.反応基質の接近方向を効果的に制御する、ペンタメチルシクロペンタジエニル配位子を装着した2価ルテニウム錯体Cp*Ru(cod)Clを触媒前駆体として用い、種々の1,6-ジイン類とケトマロン酸ジエステルを、1,2-ジクロロエタン中90℃で反応させることにより、高度に電子欠損性な炭素-酸素重結合への触媒的[2+2+2]環化付加反応に成功し、環化付加物であるジヒドロピランが開環して多置換シクロペンテン誘導体が選択的に得られた。 2.0価パラジウムを触媒として用いる電子欠損性ジイン・トリインの触媒的環化反応による、多置換芳香族化合物合成法を開発するとともに、反応中間体の単離・X線構造解析や密度汎関数法による量子化学計算を駆使して、反応機構の解明を行った。 3.ロジウムカチオン錯体触媒の存在下に、α,β-不飽和エステルとヒドロシランから発生するロジウムエノラート中間体を、アルジミン類とマンニッヒ型反応させる、触媒的三成分一段カップリングによるβ-アミノ酸エステルの新規合成法を創製した。 4.通常困難とされているプロパルジル位における触媒的炭素-炭素結合形成を、イリジウムカチオン錯体を触媒とすることにより達成した。
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