研究課題/領域番号 |
12450364
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
菊池 純一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (90153056)
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研究分担者 |
佐々木 善浩 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (90314541)
有賀 克彦 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (50193082)
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キーワード | 有機-無機複合材料 / セラソーム / ゾル-ゲル法 / セラミックス / 脂質リポソーム / 二分子膜 / 膜物性 / 多細胞モデル |
研究概要 |
リポソームはリン脂質などの生体膜構成脂質を水に分散して得られる二分子膜型の有機小胞体(ベシクル)であり、従来は生体膜モデルやドラッグキャリヤーに用いられてきた。一方、有機材料と無機材料の特性を融合した有機-無機ハイブリッドの機能が近年注目されている。このような観点から、本研究では新規の有機-無機複合材料として、セラミック表面をもつ脂質リポソームの開発を行い、その新機能を探索することを目的とした。今年度に得られた研究成果は、以下のとおりである。 (1)新規の有機-無機複合ベシクル「セラソーム」の開発 頭部にアルコキシシリル基を有する二本鎖型のペプチド脂質をいくつか開発した。これらを水に分散してゾルーゲル法を適用することで、脂質頭部の加水分解と、その結果生成するシラノール基の重縮合が進行し、セラミック表面をもつ脂質リポソームが形成されることが、透過型電子顕微鏡の観察から明らかになった。この新規な有機-無機複合ベシクルを「セラソーム」と命名した。 (2)「セラソーム」の作製条件の最適化 「セラソーム」の最適な作製条件を明らかにするために、特に加水分解プロセスに焦点をあてて検討を行った。^1H-NMR法を用いて加水分解反応を追跡した結果、pH3付近の弱酸性条件が最適であることがわかった。 (3)「セラソーム」の膜物性の評価 「セラソーム」について、粒径、表面構造、荷電状態、及び相転移挙動を、動的光散乱法、FT-IR、ゼータ電位測定、及び示差走査熱量分析からそれぞれ評価し、膜物性を明らかにした。 (4)「セラソーム」の集積化 「セラソーム」は会合構造の安定性に極めて優れており、ベシクル形態を保ったまま集積して多細胞モデルとして利用できることが、透過型電子顕微鏡ならびに原子間力顕微鏡の観察から明らかになった。
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