研究課題/領域番号 |
12450368
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
生越 久靖 福井工業高等専門学校, 校長 (90026188)
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研究分担者 |
林 高史 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20222226)
津田 良弘 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (60216463)
松井 修一 福井工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (60042975)
青柳 克宏 福島工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (40150940)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | タンパク質再構成 / ヘムタンパク質 / N-アルキルポルフィリン / ミオグロビン / ヘム異常代謝 / normal / reverse / ヘムポケット |
研究概要 |
酵素・タンパク質内で生成するヘム異常代謝物の生成機構及びその構造解明の一環として、A, B環ピロールにメチル基及びエチル基を位置選択的に導入したN-アルキル置換ポルフィリンCo錯体を多段階合成し、タンパク質との再構成を行い、その相互作用を検討した。N-メチルメソポルフィリンCo錯体をアポミオグロビンと再構成し^1H-NMRを測定したが、N-メチルプロトンのシグナルが明確に確認出来ないためN-エチルポルフィリンCo錯体について評価した。 N_A-及びN_B-エチルメソポルフィリンCo錯体とアポミオグロビンを1.6:1.6:1の割合で再構成し、^1H-NMRを測定したところ、N-エチル基のメチルプロトンシグナルが3本現れた。これらはN_A-及びN_B-エチルメソポルフィリンのCo錯体を別々に再構成した時のケミカルシフト値とほぼ一致した。なお、ミオグロビンのヘムポケットはポルフィリン上部のアルキル基の並びを認識し、normalとreverse配向をとる。これらのことより、-34.75ppmはreverse配向のN_A-エチル基、-36.63ppmはnormal配向のN_B-エチル基、-48.61ppmはreverse配向のN_B-エチル基と推定した。ここでreverse配向のN_A-エチル基とN_B-エチルの相対存在比1:0.4の要因は、ミオグロビン内のVal68の側鎖であるイソプロピル基とN-エチル基の立体反発がN_AよりN_Bのほうが大きいためと考えられる。また、立体反発の小さいreverse配向のN_A-とnormal配向のN_B-の相対存在比1:2は、ヘムポケットがポルフィリン上部のアルキル基の並びを認識するためnormal配向をとる方が優先的に再構成されるためと考えられる。これより、アポミオグロビンはヘムポケットの持つ不斉環境によって、N-エチル置換ポルフィリンの一対のエナンチオマーを不斉認識することを示し、N-エチル基とVal68との立体反発が重要な役割を果たしていることがわかった。また、再構成した時の位置異性体の相対存在比を、ポルフィリン窒素へのアルキル基転移の起こり易さと推定した。
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