研究課題/領域番号 |
12450375
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10165657)
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研究分担者 |
村田 正治 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30304744)
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キーワード | ポリマーミセル / DNA / 塩析 / コロイド分散液 / 遺伝子診断 / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) |
研究概要 |
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAM)を主鎖とし、DNAを側鎖にもつグラフト型複合体は室温では水溶性(分子分散状態)であるが、PNIPAAMの相転移温度(32℃)以上ではPNIPAAM鎖が疎水核となり、40nm程度の集合体(ポリマーミセル)を形成する。ところが、このポリマーの側鎖DNAと相補的な配列をもつDNAが溶液中に共存する場合には、相転移温度以上ではポリマー間の凝集が起こり、系が白濁することが発見された。そこで本研究では、DNA複合体の会合体形成に関する物理化学的研究を行なった。すなわち、このポリマーミセル分散液の添加塩に対する安定性を詳細に調べた。その結果、約30mM程度のMg2+が共存すると、安定性は急激に低下し凝集塊を生じた。一方、対イオンとしてNa+を用いた場合には、1.5Mまでの濃度範囲で透過度の低下は見られなかった。これは二価カチオンであるMg2+がより強くDNAのリン酸アニオンと相互作用するためと考えられる。次に、これと同種の実験を1等量の相補的DNAの共存下で行った。その結果、相補鎖の非共存時に比べ、Na+、Mg2+いずれの場合にも、より低濃度から透過度の低下が誘起された。これは二重鎖がより強くカチオンと結合するためと考察された。すなわち、本ポリマーミセルのDNA認識能は、表面DNAが1本鎖状態か2本鎖状態かでコロイド安定性が大きく変化することによることが明らかとなった。
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