研究課題/領域番号 |
12450375
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
前田 瑞夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10165657)
|
研究分担者 |
宝田 徹 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (30336010)
|
キーワード | ポリマーミセル / DNA / ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) / 遺伝子診断 / 一塩基変異 / SNP / ナノ粒子 / ガン原遺伝子 |
研究概要 |
ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を疎水核とし、その表面に9量体のDNAをコロナ状に担持した粒径40nmのポリマーミセル・ナノ粒子を合成した。この粒子の分散液に、9量体の被検体DNAを添加したところ、ナノ粒子に担持したDNAと相補的な配列(正常型)の場合は、ナノ粒子が直ちに凝集して系の白濁が観測された。一方、一塩基分だけ欠損、挿入または置換した変異型配列の場合は、系は均一のままであった。この特異的現象のメカニズムについて検討した結果、粒子表面上のDNAが一本鎖か二本鎖かで表面電荷密度が大きく変化することに起因していることがゼータ電位測定によって明らかとなった。なお、被検体DNAの配列としては、発ガン性一塩基変異部位を含むガン原遺伝子c-K-ras(9量体)のものを使用した。さらに、最新のPCR法によって増幅可能の鎖長である24量体の一塩基変異検出に本手法を拡張することにも成功した。すなわち、ナノ粒子に担持された9量体DNAと末端部分が相補的である24量体の被検体DNAを系中に添加して二重鎖形成させ、続いて、残存している一本鎖部分の15塩基分と相補的なDNAをさらに添加して、ニックの入った二重鎖(24量体)を粒子表面上に形成させるというものである。被検体DNA24量体のうちの、粒子に担持された9量体と相補的な部分に一塩基変異がある場合は、先述の場合と同様に粒子は安定に分散して均一系を保持するが、完全に相補的である場合は粒子凝集が生じて系が白濁した。以上のように、PCR法によって増幅が可能な鎖長の遺伝子変異を明確に検出できたことにより、本手法が迅速かつ簡便な新規遺伝子診断の開発につながることが期待できる。
|