研究概要 |
平成12年度において、6員環ジスピロおよび7員環モノスピロ構造をもつニトロキシドをmediatorとするスチレンの重合を検討し、70-90℃の温度範囲でもリビング的に重合が進行することを明らかにした。本年度は、新たに6員環モノスピロおよび5員環モノスピロ構造をもつニトロキシドを合成し、スチレンの80および100℃における重合の制御能を検討した。その結果、ニトロキシドの重合制御能は5員環モノスピロ構造<TEMPO<6員環モノスピロ構造<7員環モノスピロ構造<6員環ジスピロ構造の順に優れていることを明らかにした。また、相当するアルコキシアミンを合成し、それらのニトロキシドとα-フェネチルラジカルへの解離平衡定数(K)を求めた結果、Kは5員環モノスピロ構造<TEMPO<6員環モノスピロ構造<7員環モノスピロ構造<6員環ジスピロ構造の順に増加し、また、アルコキシアミンの解離に対する速度定数を70,80および90℃で求めた結果、いずれの温度においても、解離の速度定数は解離平衡定数に対する順序と同じであり、以上のことより、N-O・の周りの立体障害が大きなニトロキシドほど重合制御能が大きいと結論した。 次に、官能基をもつアルコキシアミンを合成し、これを原料に1分子中に3つあるいは6つのアルコキシアミンをもつ化合物を合成した。これを開始剤として、スチレンのリビングラジカル重合を行い、多分散度の小さいthree-armおよびsix-armスターポリマーの合成に成功した。また、官能性アルコキシアミンを合成し、ノルボルネンの開環メタセシス重合とスチレンのリビングラジカル重合の組み合わせによりポリ(ノルボルネン-スチレン)ブロック共重合体を、ヘキサメチルシクロトリシロキサンのアニオン重合とスチレンのリビングラジカル重合との組み合わせによりポリ(ジメチルシロキサン-スチレン)ブロック共重合体の合成に成功した。
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