研究分担者 |
鳥飼 直也 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助手 (70300671)
高野 敦志 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00236241)
大谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50176921)
高橋 良彰 九州大学, 総合理工科学研究院, 助教授 (40188066)
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研究概要 |
ポリイソプレン(I)とポリスチレン(S)からなり、末端に1、1-ジフェニルエチレン型ビニル基を有するテレケリックSISトリブロック共重合体4試料をモノマーの逐次添加アニオン重合によって合成した。(M_w≒3×10^4,7×10^4,18×10^4,40×10^4,M_w/M_n<1.1,φ_<PI>≒0.50,φ_<PI>はポリイソプレンの体積分率)さらにこれら共重合体の約0.1%THF溶液中にナフタレンカリウムを過剰量添加して末端二量化(環化)反応を行い、そのうち環化したと思われる部分のみをGPC分取した。分子量ならびにNMR測定の結果分取物はいずれも対応するSIS共重合体とほぼ等しい分子量および組成を有していることが確認された。 4種類のSISトリブロック共重合体(線状共重合体)と対応する分取物をそれぞれジクロロメタン溶液として-78℃でオゾン処理することによりI部分の主鎖切断を行った。GPC分析した結果、SIS共重合体はいずれもポリスチレン部分の分子量が定量的に半減したのに対し、分取物はいずれも分子量変化しなかった成分と分子量が半減した成分に分かれた。この結果より4種類の分取物とも確実に環状共重合体を含み、かつ高純度であることが定量的に確認された。 SIS共重合体(線状共重合体)ならびに分取物(環状共重合体)のベンゼン溶液キャスト膜からのモルフォロジーを、オスミウム酸染色後、透過型電子顕微鏡観察したところ、組成の異なる4組の試料はいずれも交互ラメラ構造を示すことが確認された。また小角X線散乱測定より、環状共重合体の法が対応する線状共重合体に比べていずれもドメイン間隔が狭いことが確認された。これは環状共重合体が相分離構造内でループ型配置のみを取り、末端の存在する同分子量鎖に比べ、相分離界面に対して垂直方向への拡がりが小さいことが起因したものである。一方、中性子散乱よりポリスチレンブロックのラメラ界面に沿う方向の拡がりを測定し、同じ分子量の線状ブロック共重合体の拡がりより大きいことを確認している。
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