缶サイズ衛星の試作研究と日米共同サブオービタル打上げ実験

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12450392
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 中須賀 真一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (40227806)
• 研究分担者: 森 治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (30313331) ; 花岡 照明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (90011147) ; 松永 三郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00222307)
• キーワード: 小型衛星 / ロケット打上げ実験 / 衛星搭載機器 / 日米協力プロジェクト

研究概要

350mlの缶サイズの超小型衛星CanSatを実際に製作し、平成12年7月28・29日にアメリカ・ネバダ州のブラックロック砂漠において4kmの高度まで打上げ、落下中に種々の実験を行うザブオービタル打上げ実験を実施した。さらに、追加実験として、平成12年9月28・29日に北海道大樹町において、CanSatをヘリウム気球から落下させる実験を行った。これらを通して、超小型衛星用機器技術、超小型に適した設計およびインテグレーション技術、衛星の運用技術、およびプロジェクトマネジメント手法の面で成果を得た。
東京大学では、4機のCanSatを製作し打ち上げた。1・2号機はパラシュートの形状を変えることにより落下速度制御する実験、着陸の検知により自動起立する機構の実験を行った。3・4号機はGPSを搭載し、CanSatのリアルタイム位置情報を地上伝送する実験、CanSat間で情報交換を行うことによりDGPS測位をする実験を行い、将来の軌道上衛星の編隊飛行につながる技術を獲得できた。東工大では、5機のCanSatを製作し打上げた。1号機はCCD画像送信・受信実験とカメラ方向操作実験、2号機はセンサデータ取得実験と高速データ送信実験、3号機はGPS(単独、相対、干渉測位)実験と東大CanSat間クロスリンク実験、4号機は高出力CCD画像送信実験、5号機はSSTV実験である。多くのデータを取得したが、特に4号機がCanSat放出時から約20分間、落下光景を鮮明なCCD画像によって撮影し、地上局へリアルタイムに送信できた。
以上の成果を踏まえ,平成13年度も従来の缶サイズの衛星に加え、ビール缶サイズなどの小型衛星も作成し、より高機能で先端的なミッションを行う予定である。また本衛星の開発経験を生かして、軌道投入を目的とした実衛星開発も並行して進んでいる。

研究成果

• [文献書誌] 中須賀真一,松永三郎: "CanSat計画-日米大学による手作り小型衛星への挑戦-"日本航空宇宙学会誌. 48巻562号. 589-596 (2000)
• [文献書誌] N.Sako,Y.Tsuda,S.Ota,T.Eishima.T.Yamamoto,I.Ikeda,H.Ii,H.Yamamoto,H.Tanaka,A.Tanaka,S.Nakasuka: "University of Tokyo CanSat Project-Pre-Experiment of Membrane Deployment"Proceedings of 22nd International Symposium on Space Technology and Science. Vol.2. 2354-2359 (2000)
• [文献書誌] 程島竜一,澤田弘崇,森淳,中谷幸司,鶴見唇吾,前田直秀,此上一也,森治,松永三郎: "東工大CanSat2000(第1報:カメラ画像取得ミッション)"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 下巻. 1429-1434 (2000)
• [文献書誌] 岡田英人,居相政史,宮下直己,中谷幸司,船田悟史,松永三郎: "東工大CanSat2000(第2報:センシングミッション)"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 下巻. 1435-1440 (2000)
• [文献書誌] 鶴見辰吾,中谷幸司,宇井恭一,森治,松永三郎: "東工大CanSat2000(第3報:GPSデータ取得/CanSat間通信ミッション)"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 下巻. 1441-1446 (2000)
• [文献書誌] 永島隆,伊藤孝浩,有川善久,田中明,中須賀真一: "東京大学CANSAT2000(第一報:落下速度制御と着陸装置実験)"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 下巻. 1453-1458 (2000)
• [文献書誌] 稲葉歩,幸松洋介,宮村典秀,中須賀真一: "東京大学CANSAT2000(第二報:DGPS航法実験)"第44回宇宙科学技術連合講演会講演集. 下巻. 1459-1464 (2000)