研究概要 |
本年度は本研究課題の最終年度であり,目的達成に向けて遅れていた事項を重点に研究をすすめた。前年度までにメタン-酸素-二酸化炭素混合気を用いてラム加速器の安定な作動に必要な条件を明らかにし、また基本的な光学的計測法を確立した。始動時の非定常現象については数値シミュレーションによって明らかにしてきた。本年度の重点として実際に超音速燃焼で問題となる空気-メタン混合気での作動を試みた。その結果,このような混合気でもラム加速器を安定に作動させることができることがわかった。二酸化炭素希釈混合気における安定な作動条件と比べ,同じ無次元発熱量では安定に作動できず,熱閉塞圧力が同じになるようにするとよいことが明らかになった。同じマッハ数でも混合気の比熱比が異なるため衝撃波その他流れ場は異なり,さらに反応速度が違うため火炎の位置や形状が大きく異なる。この一連の実験によって空気-メタン系混合気についてもかなり系統的にデータを集めることができた。その結果,バックステップにできる再循環域が保炎に最も大きな役割を果たすが,境界層と衝撃波の干渉も境界層を厚くして保炎に大きな影響を与えることが確認できた。 燃焼流れ場は非常に複雑で,数値シミュレーション抜きには現象の理解が十分できない。飛翔体が少し加速しているときの燃焼流れ場の数値解析を試みた。非定常現象であるために実験と全く一致した条件をつくりだすのは困難であるが,定性的に対応した現象をシミュレーシヨンすることはできた。また,実験に合わせて空気-メタン混合気系の素反応を考慮した計算プログラムに変更して,さらにより安定で精度よい計算プログラムに改善し,複雑な境界条件を持つ超音速流れ場を解析するプログラムをほぼ完成させることができた。
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