研究概要 |
惑星探査ローバーにとって,転倒により走行不能になることは,致命的な問題である.この研究では,転倒や姿勢といった概念自体が意味を持たない惑星探査ローバーについて研究する.ローバーは正多面体で構成される等方形状であり,どのような姿勢であろうと脚の接地状態は同じである.正多面体の各面にそれぞれ伸展脚を持ち,脚を伸展させた時の反力により移動する.正多面体としては,正四面体,正六面体,正八面体,正十二面体が考えられる. 以上のようなローバーを研究対象とし,今年度は,次の三点について研究を進めた. 1.惑星探査ローバーの形状 正四面体と正十二面体について,幾何学的形状の特徴(重量,脚と中心体の大きさの関係,伸展長と歩行との関係,重心の高さなど)と基礎的な運動能力(移動距離,登坂能力,跳躍方向など)を調べた. 2.微小重力環境下での動的挙動の計算シミュレーション 微小重力環境下での惑星探査ローバーの二次元動的挙動(跳躍,回転)をシミュレートするプログラムを作成した.その結果,滑りを考慮に入れても,歩行では登坂できなかった傾斜の坂にも跳躍/回転を利用すれば登坂できることが示された. 3.実験機の製作 ロ-バーの実験機を設計し,実際に製作した.脚の伸展は移動のための反力を決めるので,その速度は正確に与える必要がある.そこで,今回購入した直動シリンダを用いて伸展脚を構成し,その動作確認を行った.ただし,地上での重力が大きすぎるため,脚の伸展による反力だけでは跳躍や回転といった挙動ができず,重力を補償する装置の開発が課題となった.
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